多様な人材でイノベーションを生み出す「オリコ」の人財戦略:優秀な「外国人留学生」で海外事業をさらに加速
創業以来、信販業界のパイオニアとして、人々の決済ニーズに合わせたサービスを幅広く提供してきた株式会社オリエントコーポレーション。その挑戦は国内にとどまらず、成長を続ける東南アジアにも広がっています。これまでにタイ、フィリピン、インドネシアに進出し、事業領域の拡大を進めています。
そんなオリエントコーポレーションが外国人留学生の採用を始めたのは2017年のこと。外国人留学生用の採用窓口をつくり、意識的に採用を続けてきたと人事・総務グループキャリアデザイン推進部長の栢野 勇一郎様は語ります。
オリエントコーポレーションにおいて海外事業はどのような位置づけなのか、そして外国人留学生の採用にどのように取り組んできたのか、人事・総務グループキャリアデザイン推進部の栢野様と末安様にJPort Match を運営する株式会社SPeak 代表の唐橋がお話を伺いました。
人材のトレンドを押さえる
唐橋:まずは栢野さんのご経歴について教えてください。
栢野様(以下、栢野):私は1996年にオリコへ新卒で入社し、北は北海道、南は福岡まで様々な支店で営業推進の仕事を担当してきました。だいたい2年くらいの間隔で支店を異動していましたね。
現職に就いたのは2023年4月のことです。以来、キャリアデザイン推進部長として採用や教育、D&Iなどを担当しています。
唐橋:栢野さんと初めてお会いしたのは、経理・人事向けのサービスが多数出展する展示会でしたね。そういった情報収集は意識的にされているのですか?
栢野:ここ最近、人事領域のトレンドが大きく変わってきている感覚があって、最新情報をキャッチアップするためにもいろんなところに出向くようにしています。ここ1年で名刺交換した人を数えてみたら、464人もいました。
そうやって新しい人に積極的に会うようにしていますが、そこで教えてもらうことも多いです。たとえば「男性育休はどう考えていますか」とか「従業員から副業の話が出たらどう対応していますか」とか。様々な人とのゆるい繋がりの中から、新しい施策のヒントをもらっています。
あとは新聞や書籍、Webメディア等も見て、人事関連の施策をインプットするよう心がけてはいます。
オリコが多様な人材の採用を推し進める理由
唐橋:オリコでは「人事部」という名称を廃止し、「キャリアデザイン推進部」と「人財マネジメント統括部」の2つが新設されています。そのほかジョブポスティング制度やアルムナイネットワークの導入など新しいことに挑戦されていますね。そういった取り組みの背景にある思いやねらいはどんなところにあるのでしょうか?
栢野:同質的な組織への危機感、でしょうか。オリコは今年で創業70周年を迎えますが、金融機関の中では珍しく、創業から現在まで大きな経営統合や合併を経験していません。また新卒一括採用のままずっとやってきていて、中途入社の社員はほとんどいませんでした。そのような組織で信販業界の最前線を走ってきたため、そもそも「多様性が必要だ」という意識もそれほどなかったと思います。しかし、そんな状態を続けていると、会社としての戦闘力が相対的に落ちてしまっているのではないかという感覚がありました。このままではまずいと思い、3年前に中期経営計画を策定する際、人事戦略も見直しを行ったんです。
唐橋:見直しというと、まずは何をしたのでしょうか?
栢野:オリコにはどういう人材が多いのか、外部のコンサルティング会社に入って見てもらいました。各地域で「タウンミーティング」といって、常務以上の執行役員が各地域を回り、社員と意見交換する場を設けたのですが、そのファシリテーションを外部のコンサルタントに担ってもらったんです。各地域における課題の解決策を議論する様子を見て、オリコにいる人材の特徴を客観的にフィードバックしてもらいました。
唐橋:面白いですね。どんなフィードバックがありましたか?
栢野:要約すると「みんな似ている、同質的な組織」だと言われました。それはそうですよね、新卒入社のメンバーだけでやってきていますし、70年の間、祖業である「個品割賦」という高額商品を分割払いにする仕組みを主力に提供し続けて、信販業界のトップとして君臨してきたという自負がある会社ですから、ある意味当然かもしれません。
あとは内向きな人が多いとも言われました。社内における自部門の成績や支店の業績順位などは気にするが、他企業の取組みをはじめとした外部環境のことはあまり気にしない「たこ壺文化」ですねと言われたのです。また少人数で議論をすると熱いことを語るのに、大人数になると途端に大人しくなったり、行儀のいい発言が多くなるということなども指摘されました。
唐橋:そういったフィードバックを受けて、栢野さんはどう感じましたか?
栢野:この状態ではイノベーションなんて絶対に起きないな、と思いました。生産年齢人口が減り、世の中がめまぐるしく変わっていく中で、現状維持を続けていては、売上は必然的に減っていきます。だからこそ、新しいものを創出していく必要がありますが、同質化傾向があり内向きな組織ではイノベーションは起きません。
そうした危機感もあり、2年前に中途採用を本格的に始めました。中途入社してくれた人たちはみな魅力的で、入社後早期に活躍してくれています。現在では中途採用にも力を入れていて、今では毎年、新卒とほぼ同じ人数を採用しています。
唐橋:既存のメンバーから、中途社員の採用に対する反発はありませんか?
栢野:あまりないですね、みな受け入れてくれています。最初こそ、「オリコはこういう会社だから、このやり方にして」と同質性を押し付けるような場面も多少見られましたが、多様性に関する研修なども行いながら少しずつ変わってきていると思います。
オリコの海外戦略と外国人留学生の採用にかける思い
唐橋:新しい事業の観点でいうと、東南アジアでの事業展開が印象的です。貴社における海外事業の位置づけを教えてください。
栢野:これは信販業界全体の問題だと思いますが、日本の人口が減っていく中で、当社が得意とする個品割賦のマーケットも縮小していきます。一方、世界に目を向けると、東南アジアをはじめとしたこれから伸びていくマーケットがあるわけです。そこにオリコが得意とする個品割賦の仕組みを提供することで、これからも事業を伸ばしていけると考えています。つまり当社にとって海外事業の重要度は非常に高いです。
また現在はHonestというインドネシアでクレジットカード事業を展開するスタートアップにも出資し、オリコの従業員も数名勤務しています。実はインドネシアのクレジットカード保有率はまだ5%ほどです。ですからこれまで培った当社のノウハウを活かして市場を大きく育てていきたいと考えています。
唐橋:Honestといえば、インドネシアでは有力なスタートアップですよね。今後の展開が楽しみです。ちなみに海外展開を推し進めるうえで、グローバル人材の採用は行っていますか?
栢野:当社では日本の大学で学ぶ外国人留学生の採用を積極的に行っています。初めて外国人留学生を採用したのは2017年で、それから毎年1~2名を採用し続けています。
唐橋:順調に採用できているんですね。
栢野:そうですね。ただ採用した外国人留学生が現在どのように働いているのか確認したところ、約半数が退職していることが分かりました。それも入社後、短期間で辞めていた人もいました。理由を調べてみると私たちにも反省するところがあって、日本人も外国人留学生も同じ扱いをするべきだと、例えば中国出身で三ケ国語を完璧に話せる女性を、他の新卒社員同様に地方の支店で中古車マーケットの営業担当として配属していたりしたのです。もちろん最初は頑張ってくれていましたが、しばらくすると「キャリアアップがしたい」と退職してしまいました。
そうした経験や反省も踏まえて、現在は外国人留学生たちが持っているスキルや数年後のキャリアを見据えて配置しています。おかげさまで2023年に採用した2名、2024年に採用した2名は全員やりがいを持って、モチベーション高く仕事に取り組んでいます。
唐橋:キャリアパスを踏まえた配属を行っているのですね。ちなみにJPort Matchを導入する前から外国人留学生を着実に採用できていたと思いますが、今回JPort Matchの導入を決めていただいた理由は何だったのでしょうか?
末安:私は当社で外国人留学生の採用を担当しているのですが、1番の理由はJPort Matchに登録する外国人留学生の多様性です。とくに現在、当社が東南アジアに事業展開を進めている中で現地の言葉を話せたり、現地の文化を理解していたりする方をなかなか採用することができていませんでした。これまでも通常の新卒ナビサイトで外国人留学生に応募していただくことがありましたが、ほとんどが中国や韓国の方で、東南アジア出身の留学生から応募いただく機会は少なかったです。そういった観点で、当社に今足りていないものをJPort Matchが持っているんじゃないかと思ったんです。
またこれまで外国人向けのナビサイトを利用したことはなかったのですが、JPort Matchには採用広報のコンテンツ制作や英語での翻訳サポートもしてくださると
唐橋:さまざまな業務で忙しい人事担当者の労力を少しでも減らせたらと思ってサービスを提供しているので、そういっていただけてうれしいです。
末安:これまで外国人留学生向けには自分で英訳をしていたのですが、間違っていないか不安に感じることがたびたびありました。JPort Matchの場合は翻訳もお任せできますし、自動翻訳の機能も付いているので、弊社側での作業が最小限で済みます。スピード感をもって進められるので非常にありがたいです。
D&I推進に向け、
外国籍社員の声を集める仕組みを
唐橋:外国人留学生に共通する特徴はありますか?
栢野:私は新卒採用で最終面接もしているのですが、外国人留学生はみな意欲的ですね。日本人は大人しくて真面目な学生が多いのですが、外国人留学生はみな意思がはっきりしている印象です。
その印象は入社してからも変わらないです。例えばある外国人留学生が入社してすぐに、人事へ「これ、おかしいと思います。」と言ってきたことがありました。新入社員でも臆せず、上司や先輩社員に意見を言えること自体がすごいと思いますし、魅力的に感じました。そういった社員がいろんな部署を経験して、将来、本社で上位職として働いてくれるようになるといい会社になるのではないかと思います。
唐橋:貴社はD&Iが非常に進んでいる印象ですが、現在課題に感じていることはありますか?
栢野:外国籍の社員たちが持つ意見や困りごと等をもっと吸い上げられるようにしたいと思っています。
以前、人事・総務グループキャリアデザイン推進部のメンバーが主体となり「ERG(エンプロイーリソースグループ)」を外国籍の社員向けに組成しようと、外国籍の社員たちと座談会を行ったことがありました。すると「休暇を取らないとビザの更新ができないので、大変だ。」など、私たちが知らなかった苦労がたくさんあることが分かりました。すぐに会社から行政書士を紹介し、その費用も会社で負担するようにしたところ、ものすごく感謝されて、その後も次から次へ意見を言ってくれるようになりました。そんな風に意見を拾いながら、みんなが能力を最大限発揮できる環境を整えたいと思っています。
今後のテーマはマネジメント層の教育と
社内資料の多言語対応
唐橋:人事領域における今後の展望を教えてください。
栢野:今はまだ外国籍の社員が少ないので私たちの目が行き届いていますが、今後さらに増えた場合に備え、マネジメント層への教育は行っていこうと思います。既に多様な人材を束ねるためのマネジメント研修は管理職向けにやっていますが、外国籍の社員となると特殊な面もあると思うので、そこに対する理解を促す取り組みも行っていきます。
あとは、当社の業務マニュアルが全て日本語であるため、多言語対応に全く手が届いていません。せめて英語版は早めに整えたいな、と思っています。
将来的には、外国籍の社員たちの母国とオリコとが何か結びついたら嬉しいですね。例えばタイ出身の社員がタイの事業会社の幹部候補として帰国するなど、そんな流れが生まれると当社の外国人留学生の採用に対する期待もより大きくなってくると思います。
唐橋:最後に外国人留学生の採用に二の足を踏んでる企業へのアドバイスがあれば、お願いできますか?
栢野:各社ごとに事情があると思いますが、もし少しでも外国人採用を検討しているのであれば、試しにやってみてはいかがでしょうか。挑戦してみて、予想より効果ないなと感じればやめればいいし、良かったら力を入れていけばいいと思います。
私たちも失敗を恐れず、いろいろと挑戦してみるという企業カルチャーを大切にしていきたいと思います。当社のバリューに「未来を想う」「挑戦を楽しむ」というのがあるのですが、まさにその通りだなと感じています。
唐橋:素敵な言葉ですね。栢野さん、末安さん、貴重なお話をありがとうございました!
SPeak運営のJPort Matchについて
JPort Matchは若手外国人材に特化したキャリアプラットフォームです。グローバル展開をされてる企業さまと、若手外国人材の効率的な出会いを支援しています。
学生ユーザーは4500名ほどおり、新卒・第二新卒層の方がいます。東南アジアを中心に132カ国から学ぶ留学生が登録しています。特徴は日本語と英語の能力が非常に高い学生が多い点です。
現在グローバル人材の採用に関する無料相談を受付中です。300社ほどの会社をサポートし、500人以上の外国人留学生と面接をしてきた代表・唐橋が貴社のグローバル人材採用に関するお悩みをお伺いさせていただきます。
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