【6/8開催】人的資本開示義務化で注目の「ISO 30415 ダイバーシティ経営」ウェビナーを実施ー『ダイバーシティ経営』について慶應義塾大学大学院・岩本隆氏より解説!
日本における国籍のダイバーシティ&インクルージョンを目指す株式会社SPeakは、2023年6月8日(木)に人的資本開示義務化の開始で注目を浴びる「ISO 30415『ダイバーシティ経営』とは?〜企業を強くする本当の「ダイバーシティ」をプロが解説〜」についてのビジネス解説ウェビナーを50社限定で開催しました。
2023年3月期決算以降、上場企業4000社を対象として人的資本開示が義務化されたことにより、各企業の人事・経営幹部の方は、各社で人的資本開示に関する対策が求められています。人的資本開示の中でも特に注目されているのがISO 30415「ダイバーシティ&インクルージョン」の分野です。
今回ウェビナーゲストとして、人的資本調査2022 審査員・HRテクノロジー大賞審査委員長を務める慶應義塾大学大学院教授・岩本隆教授をお招きしました。岩本氏は日本とアメリカの大学・外資企業での経験もあり、学術的かつ国際文献の観点より昨今上場企業に求められているダイバーシティ経営について具体的な事例を交えながら解説いただきました。
ISO 30415:「ダイバーシティ&インクルージョン」(ダイバーシティ経営)とは
企業価値に占める有形資産の価値はどんどん減っており、無形資産―非財務―の資本のマネジメントというのが今重要となってきています。
アメリカの企業を中心にですが、企業価値に占める無形資産の割合の推移が
非常に高く、2022年に至っては90%が無形資産でした。
非財務の資本の中でも最も重要なのが人的資本であり、 人的資本の評価のために人的資本報告に関する世界共通の測定基準について開発しようといった動きが活発になり、2011年にはISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)に人材マネジメントの専門委員会(TC:Technical Committee)であるISO/TC 260が創設され、世界各国では人的資本開示の政策も策定され始めました。
日本でも今年2023年3月期決算から企業の価値を示すための人的資本の開示を政策的にどんどん進めていこうということになりました。
日本企業では、すでにジャヤ大林(建設会社・大林組)が2023年3月にISO 30415の認証を取得しています。
ISO30415の序章には、「D&I(Diversity & Inclusion) を認識してかつ活用することは、イノベーションを促し、レジリエンス、 持続可能性、評価を高めようとする組織にとって重要となり得る。D&Iを 組織の戦略やビジネスプロセスに組み込むよう、最も適切なアプロー チを決定する必要がある。」などと書かれており、より積極的なダイバーシティ経営が求められています。
ダイバーシティ経営について
ダイバーシティ概念に関する世界の最新動向(DEI・DEIB)
日本の多くの企業はDEI(Diversity Equity Inclusion)といってD&Iにプラスして「Equity 公平」を重視するようになってきています。また世界最先端の企業では、それに「Belonging 所属意識」が追加された DEIB(Diversity Equity Inclusion Belonging)といった概念が広がりつつあります。
「Equality」と「Equity」の概念の違いについてですが、Equityは平等ではなく公平を指し、時にはハンデを積んで公平を作り上げることをいいます。特に女性活躍、障害者活躍、外国人活躍の分野において極めて重要になっており、Equityの推進によって女性も障害者も外国人もそれぞれの能力を発揮するところにフォーカスができるので、企業のパフォーマンスを高めるのにとても重要な役割を果たします。
自分の努力次第で変えられるコグニティブダイバーシティとは?
またダイバーシティは大きく分けて下記の二つに分類されます。
デモグラフィックダイバーシティ(Demographic diversity:人口統計学的多様性):目に見えるもの=性別や年齢、国籍に関するそういったダイバーシティのこと。
コグニティブダイバーシティ(Cognitive diversity:認知的多様性):目に見えないもの=指向特性、個性、スキルや経験を指すダイバーシティのこと。
デモグラフィックダイバーシティは業績には相関しませんが、コグニティブダイバーシティは組織のパフォーマンスやイノベーション 度合いに相関するので、持続的に成長しようと思ったらコグニティブダイバーシティを強化することが企業にとって重要であると言えます。
ダイバーシティ経営の即効性なら外国人材採用が有効的
イノベーティブで持続的に成長する企業になるためにはコグニティブダイバーシティの視点でのダイバーシティ経営が重要であるとお伝えしましたが、そのコグニティブダイバースな企業文化を実現するのに外国人材を取ることは有効的であります。
思考特性が異なる人材同士が掛け合わさるとイノベーティブになるので、日本人と思考特性が異なる外国人材が活躍する企業文化を作ることはダイバーシティ経営を進めるための大きな一歩になり得ます。
Q&A
「Equality」とは違う?「Equity」について
唐橋:昨今の日本においてダイバーシティといえば”女性活躍”を直近の課題として取り組まれている会社が多いと思いますが、それとは相反して出産や育児は喜ぶべきことなのに、ハンデのように見えてしまっている傾向がありますよね。
岩本氏:はい。この場合もEquityがとても重要になってくると思います。例えば、総合商社である双日という会社はEquityを非常に重要視していて、入社して20代後半ぐらいになると、ストレッチアサインメント(現時点で持っている知識や技術で目標到達が困難だと考えられる役職に任命して、社員の成長を促すこと)が取り入れられます。リーダー候補の人材にこのストレッチアサインメントをさせるのですが、特に女性は働き盛りの時に出産というイベントがあるという理由で、男性社員よりも二年か三年早くストレッチアサインメントするように、人事制度を変えたとのことです。
これは女性社員が出産して会社に戻った際にすぐ管理職になるためのスキルを早めに身につけてもらうことが目的です。そうするともちろん男性社員からは不平等だと言われますが、双日の人事トップの方はEquityという概念をよくご存じで、「これは不平等ではなく、Equityなので公平である」と男性社員を説き伏せ、人事制度にしてしまったということです。
唐橋:素晴らしいですね。それは個人でそういう考え方があったのか、それとも会社としてそういう考え方を根付かせようとされていたのでしょうか?
岩本氏:双日の人事トップの方はもともと人事部に所属されていたわけではなく、ヘルスケアの事業部長されていました。そこでは色々な経験を持った人が組み合わさり、数百億の新規事業を立ち上げてきました。これが本日お話したコグニティブダイバーシティという概念につながっているというわけです。その当時この言葉は知らなかったそうですが、現場で取り組んでいたというわけです。
ーー参加者からの質問「外国人採用が今後より重要になることは理解しましたが、どのように始めていいかが分かりません。どういうことから取り組むのがよろしいでしょうか?」
岩本氏:やはりEquityのところをちゃんとやってあげるという所が重要だと思います。外国人が日本人と同じように普通に働けるみたいなところですよね。例えば日本語の習得を会社側がサポートしてあげることで、外国人と日本人が同じ言語下で働く環境を整えるなどといった取り組みなどです。あとカルチャーとして、外国人だけど受け入れられていると感じられることが重要になってくるとは思います。
唐橋:私がこの間お話しした企業様がいまして、まず生活というところで、外国人だから断られてしまうっていうのが物件探しで起こるので、その会社さんは法人名で借りることをされているので、どんな物件でも契約をすることができます。住む自由を確保するあたりまえの権利を与えるみたいなことやってらっしゃいました。
岩本氏:そうですね、正にそうした仕事以外の部分でも、ストレスなく能力を発揮させてあげることは重要になると思います。ただ会社としてはビジネスとして投資したお金をきちんと回収できるのかどうかが問題となりますが、実はEquityにちゃんと人的資本投資をする方がROI(投資利益率)も本当はかなり高くなるんじゃないかと思います。
ダイバーシティ―外国人材の推進を検討されている人事の方へ岩本氏よりメッセージ
「コグニティブダイバーシティの観点でそれぞれの人の特性を受け入れるということを、採用担当の方だけじゃなくて、おそらく全従業員が持つべきだと思います。いろんなものを受け入れて掛け合わせる習慣。最終的に企業カルチャーまで浸透することにおいてリーダーシップを社内でも取っていただくと、会社のカルチャー変革という重大なテーマの達成としても有効的だと感じます。」
SPeak運営のJPort Matchについて
弊社SPeakは国籍のD&I(Diversity & Inclusion)を日本でも根付かせるべく、グローバル新卒向けマッチングプラットフォーム「JPort Match」という採用広報メディアを運営しております。
「JPort Match」とは英語・日本語両方でジョブもしくは企業の掲載ができるWebサイトで、全国有名大学で学ぶグローバル新卒学生と企業様との双方向マッチングが可能なグローバル人材プラットフォームサービスとなっており、企業側のグローバル人材不足と採用の費用対効果の悪さを改善すると共に、学生とのミスマッチの減少に役立てることが出来ます。
今後「ダイバーシティ&インクルージョン」を意識したダイバーシティ経営を目指す企業様と日本での活躍を目指す外国人留学生に向けて、引き続き株式会社SPeakは様々なイベントやコンテンツ内容を充実させていきます。
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